シティ沈没

式日記と経済展望がいい。
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日本が核武装すべきだとか、中韓を植民地化すべきだとか、学生時代からリベラルで通してきたわたしには、まったく理解できない見解ですが、それにもかかわらず、経済に関する見立ては、まったく同感。副島隆彦が大昔からメリルとシティが潰れると叫んでいたんですが、いよいよシティの状況が明らかになりはじめた。簿外で120兆円の負債というのは、ちょっとしたもんですね。オバマがどう処理するか、年末から年明けにかけて、いきなりの勝負どころだ。

(貼り付け開始)

◆シティという不沈巨大タンカーの幻想  11月24日 田村秀男

シティグループは巨大タンカーに例えられてきた。巨大な図体で巨大な金融資産を運ぶ。タンカーは船倉を幾多にも仕切っているので、少々船底に穴が空いても沈まない。

ところが、かつては不沈戦艦と讃えられた戦艦大和も沈んだ。内蔵する巨大な弾薬に火がつけば、自爆し、真っ逆さまに暗黒の海へと旅立つのだ。

シティの最大の問題は、今回救済対象になった「不良資産」ではなく、1兆2000億ドルとみられる簿外の債務にある。大半は大量破壊兵器金融派生商品であり、不良債権化しているはずだ。

シティの経営執行委員会議長はかのロバート・ルービン氏。クリントン政権の財務長官で、今回のオバマ次期政権の金融危機対策に絶大な影響力を持っている。次期財務長官が有力視されているガイトナーニューヨーク連銀議長は言わばルービン氏の代役。

ルービン氏はもとはと言えばゴールドマン・サックスの共同経営者でもあった。ポールソン財務長官と同じGS出身だ。

クローニズム(身内主義)の米金融帝国が身内だけで、この難局に立ち向かうわけだが、不透明な実態にメスも入れず、ただ公的資金、あとは不問というなら、いったいこの金融危機を乗り切れるはずがない。

1997、8年のアジア通貨危機の際、ルービン氏がこっぴどくやっつけたインドネシアのクローニー資本主義の権化、スハルト体制は崩壊したことを、よもや忘れてはいないだろうが…


アメリカ政府はシティを国有化して優先株を買い取るようですが、経営陣はお咎めなしで公的資金を注入する。これが出来れば日本ももっと早く危機から脱出できたのに、新自由主義的な考え方で公的資金による救済が遅れてしまった。竹中大臣は資産査定の厳格化で銀行を追い込んでいきましたが、今度のシティ救済をどのように見ているのだろうか?

今のシティを資産査定の厳格化で査定すれば債務超過であり市場原理主義から言えば潰されるべき銀行だ。このようにアメリカは自分勝手であり原理原則もない国だ。このように住宅金融会社も保険会社も商業銀行も国で救済して国有化されていますが、そのカネはどこから出るのだろうか?

シティは10月に250億ドルの資本注入を受けたばかりだが、さらに200億ドルの資本注入を受ける。不良債権の額からしてシティはまだまだこれからも果てしなく資本注入を続けなければならなくなるだろう。アメリカの景気が回復すれば不良債権の発生も止まるだろうが、実体経済の悪化はこれからだ。

アメリカは90年代はITバブルを演出して世界から金を集めましたが、2000年以降は金融商品バブルで金を集めてきた。しかしデリバティブという金融商品大量破壊兵器以上の破壊力を持つものであり、アメリカはもとより世界経済を吹っ飛ばすほどの威力がある。それを放置してきたのはアメリカ政府であり金融商品は金融立国の切り札だった。

アメリカの投資銀行金融商品は高利回りであり、産油国新興国などからの資金還流でアメリカは好景気が続いた。それに対して日本は超低金利政策で財政再建を優先して景気対策は行なわなかった。これは意図的に日本からアメリカに資金が流れるようにするためであり、政府日銀が増税や金融の量的引き締めで好景気になるのを恐れているかのように見える。

麻生内閣でようやく景気対策に力を入れるようですが、景気対策は続けなければ意味がない。90年代も3度にわたって景気が回復しかけては財政再建で潰してきた。それに対してアメリカは75兆円の金融安定化法案を通して次々と手を打っている。日本は貿易黒字国なのにその黒字を生かすことが出来なくてアメリカに還流させる政策をとっている。

アメリカはシティやGMといったアメリカを代表するような企業が潰れかけていますが、日本で言えばトヨタや三菱UFJが潰れるような事態がアメリカを襲っている。これではアメリカ経済もおしまいなのであり、アメリカを支えるような大企業がアメリカからなくなり、自動車産業も外国資本で経済植民地化していくのだろう。

金融だけはアメリカの戦略産業であり、製造業は競争力がなくなりメキシコや中国に工場を移転してしまった。しかし最後の牙城である金融も自爆テロ不良債権の山を作ってアメリカは自滅する。日本の戦略は崩壊しつつあるアメリカ帝国からどのような自立の道を探るかですが、アメリカ依存に固まったままの日本人の意識を目覚めさせなければならない。

アメリカは共産主義と戦い勝利を収めて新自由主義市場原理主義イデオロギーを日本にも押し付けてきた。しかし今度の新自由主義市場原理主義アメリカ政府自ら捨て去ってしまった。アメリカもEUや日本のような社会民主主義的な政策でオバマ政権もそうなっていくだろう。行き過ぎた規制緩和や弱肉朝食経済はアメリカ経済をも破壊させた。

これからのアメリカがどのようになるかは中国の出方にかかっている。アメリカはすでに金融経済対策で200兆円以上の金を必要としており米国債を売って賄わなければならない。しかし日本も中国も産油国もそれだけの買う金は無い。アメリカ国民も負債の山を抱えており長期不況で中国から物を買うことは出来なくなる。つまり中国はアメリカの輸出が出来なくなり、アメリカは中国にドルや国債を買ってもらえなくなる。つまり米中共倒れだ…

(貼り付け終わり)