陰謀論を超えて
都倉康行「金融vs国家」(ちくま新書)。同じ本を読んでも察しのいい人が読むと違うわ。日本を守るのに右も左もないのブログ主のこと。以下、感嘆を込めて引用。
・なぜサブプライムローンでイギリスの銀行が大穴明けたのか?
・なぜイギリス一極派(ロスチャイルド系)が、基軸通貨ドルを維持しようとしているのか?
・なぜイギリスにユーロダラーが存在するのか?
・金貸しが作ったタクスヘイブン=オフショアの機能とは?
・金融グローバル化を推し進める必然性。
このマネー循環構造こそが、彼ら(イギリス金貸し)の収益源であり、それを維持しているのがドル覇権であり、マネーフローと相似して世界に展開しているアメリカの軍事力なのではないだろうか?軍産複合体にも彼らの資本が相当入っているはずだ。このマネーフロー図は、ドル覇権がポンド覇権の移行形・発展形として成立してきたということを示唆している。つまりドル覇権の主体は、イギリスの金貸し(ロスチャイルド系)であるということではないだろうか?
イギリスへの投資・投機的資金の流入もドルの地位を押し上げる結果となった。その背景にあるのが、第一次大戦後の混乱で変動相場制が続く中、1925年に制度化されたポンドとドルの相場固定化である。マルクやフランなど欧州の主要通貨がインフレで減価する一方、米国はいち早く1919年に金本位制に復帰し、英国はこれにやや遅れて1925年に復帰する。その結果、ポンドとドルの「基軸相場」が生まれたのである。
この2国間の通貨レートの安定性が、資本市場の磁場が欧州大陸から英米間へと地理的に移動する動きを促していく。その二大通貨の関係式こそが、その後21世紀にまで連綿と受け継がれる「太平洋間の国際金融」を育んだ土壌だったのである。
(上掲同書より)
1920年代にポンドからドルに基軸通貨が移行する前後に、イギリスの金貸しの資産がドルへと移し変えられた。そのために金貸しは、安定した“基軸相場”を必要とした。
その後、イギリス金貸し(ロスチャイルド系)は、このマネー循環を通じて、利殖を続けるるシステムの維持が至上命題になった。その利殖システム・資金循環の要として、事前にFRB(連邦準備銀行)を作り出した。(伏魔殿FRBでマネーフローを管理する連中が、グローバリストの中核実務部隊。)
それに対して、この20世紀初頭頃、台頭し始めた米国の産業資本ロックフェラーは、アメリカの産業支配を進めるイギリスの金貸しから金融覇権を奪うため、1929年のニューヨーク株式大暴落と第2次大戦を仕掛けた。暴落した株を買い集めてロックフェラーは台頭したが、しかしアメリカの金融主導権を完全に奪うまでには至らなかった、・・・・そのことをこの図は示している。
ドル大暴落の仕掛けとは、このイギリスを中心としたマネー循環構造を破壊することであり、多極化とはそれに代わるマネー循環構造を作り出すためのロックフェラーによる数十年来の戦略なのだろう。
しかし、ドル弱体化とともにこのマネー循環構造も明らかにおかしくなってきている。サブプライムローン破綻はその表れであるし、すでに1980年代からのグローバリズムも、レバレッジを効かした投資ファンドのも、円キャリーも、世界中で繰り返されるバブルも、無理やり世界をドル一極のマネー循環構造に組み込み、実体経済から収奪するための方策だった。金融が主な収益源でしかない彼らはすでにやりすぎてしまった。
一方で、ロックフェラー系は、恐らく既に中国やアラブ、ロシアなど多面的に投資を行い、ドル以外の資産で利殖を増やしていく体制を整えている・・・・・。対するロスチャイルド系も行き詰まりは分かっている、彼らのアドバーンテージは金融とマスコミ支配、だから温暖化問題→排出権と炭素本位制etcや世界バブルの形成→マネー循環構造への組み込みに躍起になっている…
ベンジャミン・フルフォード「リアル経済学」(日経BP社)読了。ちょっと頑張りすぎたかなと思う。まともな話やったね。陰謀論で片付けられる本じゃない。ネットでなじみの話が多かったけど、正確に書かれてあるので、勉強になりました。リアルの世界にどの程度通用するのか、興味は尽きない。また、こういう話がきっちりできるひとなんだとベンジャミン・フルフォード氏を応援したくなった。銀行批判のできないTV・新聞には取り上げられないだろうな。